プロジェクト進捗状況
2018年の第4クォーターはフィールド活動とコミュニケーション関係の業務に専念しました。前期に引き続き、プロジェクト主担当のユーゴは35日間もの間、ヌメアとトゥオ近くの海で過ごし、大量のマンタのID写真と遺伝子サンプルを持ち帰りました。また、新たに3個体へのタグ付けに成功しました。
私たちの活動を紹介したビデオ「ニューカレドニア~珊瑚海の母(英題:Mother of the Coral Sea)」がアジア太平洋地域で大成功を収めたおかげで、マンタ・イニシアチブ・プロジェクトは知名度を高めてきています。今後更なる広がりを見せるでしょう・・・
過去3か月の活動:
ここニューカレドニアでは夏を迎え、マンタと泳いでクールダウンするのが何より最高の季節となりました。気温が上がり30℃に達すると、多くのニューカレドニア人は海に出かけ、運が良ければマンタと出会います。プロジェクト当初から続けてきた広報の努力の甲斐あって、個体識別用にマンタの腹部の写真を撮り、それをFacebookで共有することでプロジェクトに貢献できるということは、今や地元でも知られるようになりました。写真を撮ることで、マンタの行動について多くを学ぶことができますし、以前出会ったことのあるマンタには(あるいはそうでなくとも)自分で名前をつけることができるかもしれません!
マンタ・イニシアチブのFacebookページは急成長しており、識別写真の数もコンスタントに増えています。前回の更新以降、フォロワーから送られてきた86枚の写真のうち、新たに個体識別されたのはたった6個体でした。これで、ニューカレドニア近海で合計311個体が識別されたことになります。今回の追加個体数はとても少なく見えますが、心配には及びません。なぜなら、識別済の個体数が、トゥオやヌメアのようないくつかのパイロットサイトに生息するマンタの全個体数に近づいてきていると考えられるからです。とはいえ、まだ全個体を識別し終えた訳ではないので、引き続き個体識別写真のカタログ作成に協力をお願いしています。
もし、マンタについてもっと知りたければ、私たちのFacebookページを訪れてみてください。もし、ニューカレドニアの近くでダイビングをする機会があって、マンタの写真を撮ることができれば、是非投稿してください!
Initiative Manta en Nouvelle-Calédonie
ユーゴと、ニューカレドニア大学とラグーン水族館のチーム、インターンシップボランティアは、フィールドに出かけてたくさんの新しい識別写真を持ち帰りました。
10月は、日本から来たユースプログラムインターンの城戸大樹さんがユーゴをサポートしてくれました。城戸さんは写真識別と遺伝子サンプリングに参加し、フィールドワークを補佐しました。彼はまた、日本人が運営するAlizeダイビングクラブとのパートナーシップ作りにも貢献し、マンタと泳ぐ際の行動規範の和訳も手掛けてくれました。
team briefing before field work
11月上旬は、トゥオでの科学的データの収集を継続しました。トゥオはマンタにとって重要なクリーニングステーション(体についた寄生虫等を小魚に食べてもらう場所)であることがわかっており、マンタがゆっくり泳ぐため接近しやすく、写真撮影やサテライトタギング、遺伝子サンプリングをするのに適した場所です。
Mayol2 beeing tagged
我々はボートにGoProカメラを数機、ドローンを1台、ダイビングギアを積み込んで追跡を始めました。
海況に恵まれたため、幸運なことに何度もマンタに遭遇して、サテライトタギング、撮影、遺伝子サンプリングを行うことができました。マンタを見つけた時は、視認できる距離間を保ちながら、時には強い潮の流れに逆らって泳ぎ、マンタに十分に近づきます。これはご想像の通りなかなか大変です。
それでもこのミッションは大成功をおさめ、新たに3個体の識別、サテライトタギング、遺伝子サンプリングを行うことができました!
- MAC3
性別:成熟したメス
大きさ:3.3 m
腹側の色:黒
特徴:左胸鰭に傷
- MAYOL-2
性別:成熟したメス
大きさ:3.4 m
腹側の色:白
特徴:尾にサメの噛み痕
- BIG-BLUE
性別:成熟したオス
大きさ:3.2 m
腹側の色:白
特徴:人を恐れない
今回のフィールド調査にはとても特別な思い入れがありました。ニューカレドニアの海洋担当官として5年間CIで働き、マンタ・イニシアチブに大いに尽力してきたマエル・イミリザルドゥにとって、今回が最後の調査だったからです。彼の後任として、マンタ・イニシアチブを代表してマエルの今後の活躍を祈ります。
(左から、離任するマエル・イミリザルドゥ、フォトグラファーのショーン・ハインリッヒ、CIのマーク・エルドマン、トーマス・オーガー、プロジェクト主担当の学生ユーゴ・ラゾス)
とてもうれしいお知らせです!私たちが制作したフィルム「ニューカレドニア~珊瑚海の母(英題:Mother of Coral Reefs、https://www.youtube.com/watch?v=-EYOwk6SjF8&t=92s)」がロサンゼルスのIndependent Short Awardsの「ベストドキュメンタリー」部門で銀賞に(https://independentshortsawards.com/silver-awards-november-2018/)、「ベストシネマトグラフィ」部門で佳作に(https://independentshortsawards.com/honorable-mentions-november-2018/)選ばれました。
Facebookのページは483名のフォロワーを獲得するまでに成長しました。中には、ニューカレドニア一帯で自分たちが撮影した水中写真やドローンによる空撮映像を共有してくれる協力者もいて、プロジェクトの進展に大いに貢献してもらっています。
https://www.facebook.com/initiativemantaNC/
マンタ・イニシアチブは地元の複数のメディアでも紹介されています(例:Bulletin of Geomatics第52号、ヌメアのインフォメーションオフィスLa Maison du Lagonのニュースレター10月号等)。ここに感謝を表します。
2018年後半のニュースレポートは、フランス語と英語の2バージョン用意しており、より多くの方々にニューカレドニアのマンタについてお知らせすることができると思います。このレポートは、ダイビング関係者やパートナー、水中写真家のグループや管理者を含む150もの連絡先に共有されました。
次の3か月間の活動
来る3か月間も引き続きフィールドワークに注力し、ヌメア、トゥオ、ウベアでの活動を行います。ユーゴの博士号取得には、最低でも1つのサイトから20の遺伝子サンプルを採取する必要があるため、今後もマンタの追跡を続けます。
更に、マンタへのサテライトタギングも継続し、日々の行動や潜水について学んでいきます。
オークランド大学との遺伝子解析に関するパートナーシップも順調です。
最後に、ユーゴは3月にメキシコのプラヤ・デル・カルメンで開かれる第1回目のLatin American Conference on Sharks, Rays and Chimaeras(サメ、エイ、ギンザメに関するラテンアメリカ会議)に参加する予定です。