インドネシア
Activity Report from Indonesia Vol.01 (23/03/2018)
from 矢田誠

ジャカルタから最も近い国立公園〜マラサリ村での環境教育〜

グヌン・ハリムン・サラック国立公園について

グヌン・ハリムン・サラック国立公園はジャワ島西部に位置し、首都のジャカルタから最も近い国立公園のひとつです。この国立公園にはジャワクマタカ、ワウワウテナガザルなどの希少な野生生物が生息する豊かな自然とスンダ民族の伝統文化に根ざした里山が残されています。

この国立公園は首都圏から100km圏内の距離にあり、国立公園内に多くの住民が暮らしています。自然環境の保全と地域住民の暮らしの両立は国立公園管理上の大きな課題であり、政府やNGOによって様々な活動が実施されています。特に本プロジェクトの実施地であるマラサリ村は、村の面積の80%が国立公園に指定されているため、地域の自然保全に留意しつつ持続可能な生計手段を確保することが大きな目標となっています。このような背景から村を挙げてのエコツーリズム事業の実施が3年前からスタートしており、地域の自然や里山での暮らしを体験できるプログラム開発が進められてきました。

本プロジェクト「グヌン・ハリムン・サラック国立公園における里山保全の伝統的知見の普及」では既存のエコツーリズム事業を活用し、マラサリ村を舞台に環境教育ツール(ブックレット、映像作品)を作成し、ジャカルタ首都圏の若者層に対して国立公園の自然環境や地域住民が営む里山での生活の重要性について普及啓発を行う予定です。

過去3カ月の活動

• 住民ガイドとなる若者25名に対してエコツーリズムプログラムのためのトレーニングを実施しました。トレーニングでは原生林トレッキングルートにおける自然環境や、里山における農作業や伝統文化について、インタープリテーションの方法を学びました。

• パイロットプログラムとなる環境教育授業を実施しました。参加者はジャカルタ市首都圏の中高生20名です。参加した中高生は自宅から半日で到達できる距離にテナガザルやヒョウが生息する森があることを初めて知りました。当日は運よく目の前30mほどの距離でテナガザルを目にすることができ、参加した中高生も大興奮の様子でした。そのほかにも野鳥の観察や植物についてのインタープリテーションを受け、都会での日常生活では味わうことの出来ない野生の体験に大きく心を動かされた様子でした。

今後の活動

パイロットプログラムを実施したことで、動植物の解説を中心としたブックレット作成の必要性を確認することができたため、現在はその草案作成を進めているところです。また、JEEFとCIの両団体が協力して青少年に対する良質な自然体験の提供を模索しています。CIインドネシアはこれまでに他地域の国立公園で青少年を対象とした「エコレンジャープログラム」の実施経験があることから、本プロジェクトでもそのコンセプトを取り入れて、首都圏の青少年が「エコレンジャー」として環境に配慮した人材に育つよう計画を進めています。

今後の活動についても、ウェブレポートで報告するので是非楽しみにしていてください。

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