2019年の2月半ば、マラサリ村では日本の若者が参加するスタディツアーの訪問を受け入れる機会を得ることになりました。
これは環境保全活動に関心を持つ日本の若者を対象にして行われるスタディツアーの訪問対象地のひとつにマラサリ村が選ばれたものです。
今回のレポートでは、村人にとっても大きな経験となったこの研修受け入れの話をお伝えします。
これまでの3か月の活動
国立公園職員による講義
マラサリ村での日本からのスタディツアーの受け入れは2月の14日~16日の2泊3日にかけて実施されました。マラサリ村訪問の初日、早朝にジャカルタを出発した日本人グループは道中でグヌン・ハリムン・サラック国立公園管理事務所に立ち寄り、公園職員よりこの国立公園の歴史や貴重な生態系ついての講義を受けました。ツアー参加者はジャワクマタカ、ワウワウテナガザル、ヒョウの3つの希少動物を中心とした国立公園内の貴重な生態系についてや、地域住民との協働の在り方などについてなどをじっくりと学ぶこととなりました。
キャノピートレイルでの森林観察
住民ガイドによるラタン(籐)についての説明
午後は、日本・インドネシア双方の若者が車座になっての意見交換。日本人からマラサリ村の若者に多くの質問がなされます。一番の興味の対象はどうして「エコツーリズムを実施しようと思ったのか?」村人からは違法伐採などで自然資源を搾取するのではなく、自然を守りながら日々の暮らしを成り立たせるための手段としてエコツーリズムの発展に大きく期待しているという明確な返答を得ることができました。
3日目の活動は村での文化体験。マラサリ村のエコツーリズムパッケージのなかで、いま一番力を入れている分野です。
一行が原生林から村の中心地に移動すると、トン、トン、トンと鳴り響く米搗きの音で迎えられます。村の女性たちによる伝統的な精米作業です。大木から削り出した木臼に稲束を満たし、杵を振り下ろして脱穀する作業です。人生初めての米搗き体験に日本人メンバーは大喜びのようでした。
文化体験プログラムの目玉のひとつとなる米搗き
続いては畑での農産物の収穫。キャッサバ、インゲン豆、ナスなど村人が丹精込めて育てた野菜を村人と日本人が一緒になって収穫します。農産物収穫の中でも一番人気はヤシ砂糖づくりでした。
収穫された野菜類は家庭に持ち帰り、料理教室が開かれます。自分たちが搗いたコメ、収穫した野菜を使い、日本人と村人との協働作業で昼食を用意します。日本からのツアー参加者にとって、このような村人との交流は非常に貴重な経験となったようです。
キャッサバの収穫
収穫した農産物を使っての料理体験
2泊3日の日本人受け入れを通じて、村人たちも多くの事を学びました。特に村の若者自らが考案したマラサリ村ならでは文化体験パッケージが好評だったことは、村人たちが今後もエコツーリズムを推進していく上で大きな自信に繋がったようです。
次の3か月の活動
昨年の10月から始まったエコツーリズムのためのガイドブック作成作業が継続しています。今回の日本人受け入れの経験も盛り込み、5月末のガイドブック完成に向けて作業を続けます。