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穂刈り鎌を用いた伝統的な稲刈り
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刈り取った稲束を運ぶ村人
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天日干しされる稲束
5月中旬、マラサリ村は稲刈りの季節を迎えました。エコツーリズム事業における観光スポットのひとつである棚田では、朝早くから多くの村人が集まり、稲刈り作業が進められます。
マラサリ村で植えられている稲は12種類。どれも伝統種であり、その稲刈り作業も穂刈り鎌を使って稲穂の部分だけを摘み取っていく伝統的な手法です。
稲の品種改良が進み、近代農業が導入されて久しいインドネシアにおいて、伝統種の稲作は時代と共に廃れてしまい、穂刈り鎌を使った稲刈りはほとんど目にすることはできなくなっています。
そのような時代背景の中、マラサリ村の稲作では今でも伝統的な様式が残されており、文化的にも非常に貴重な価値があると言えます。
エコツーリズム事業の一環として、マラサリ村に残る伝統的な稲作を広く一般市民に知ってもらうこともプロジェクトの掲げる目標のひとつです。棚田での稲刈りの様子を短い動画にまとめてみました。
動画をご覧になって興味を持たれた方々が、実際にマラサリ村観光に足を運んでくれることを願っています。
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過去3カ月の活動
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キャンプを楽しむ訪問者
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野外教室の一環でマラサリ村を訪問する首都圏の高校生
これまでのエコツーリズムプログラムの広報の成果もあり、マラサリ村には非常に多くの観光客が来るようになっています。
特にラマダン(イスラム教における断食月)が明けた後の長期休暇の時期には、1,000人を超える観光客の訪問を受けています。
ガイドを担う村の若者たちも、非常に忙しい時間を過ごしました。
観光客のほとんどは家族単位でマラサリ村を訪問し、村内を一周したり写真を撮ったりして帰ってしまう人々ですが、このところは団体客の受け入れも増えています。
アウトドア体験を趣味にするグループや大学のサークル活動、首都圏の中学や高校からの野外教室など、訪問客の素性は多様ですがホームステイでの宿泊を伴う観光客は増加傾向にあります。また、マラサリ村観光が広く知られるにつれ、SNS上で動画を配信するために撮影旅行にいらっしゃる方々も増えています。
そのような観光客を相手に、村の若者たちはガイドの実地トレーニングを積むことができました。村の魅力をどのように伝えるべきか、若者たちは試行錯誤しながらより良いガイドになるためのトレーニングを続けています。
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ガイドブックの内容(動物の解説)
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ガイドブックの内容(里山文化の解説)
昨年の10月に着手したガイドブックの作成が最終段階に入っています。エコツーリズムプログラムを通じて村の自然や里山文化を紹介するためのガイドブックです。
市内に位置する国立大学であるボゴール農科大学の学生達と協働して調査を実施し、観光客に伝えるべきトピックをまとめています。
ガイドブックの内容はほぼ確定し、現在、校正作業に入っています。完成したガイドブックを活用して、環境教育効果の高いプログラムを提供できる日ももうすぐです。
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今後3カ月の活動
• 現在校正作業中のガイドブックを完成させ、住民ガイドへのインタープリテーションのトレーニングを実施します。
• 8月には、環境保全に関心を持つジャカルタ首都圏からの大学生グループの訪問を受け入れます。エコツーリズム事業における環境教育パッケージの一環として、マラサリ村の生物多様性や里山保全などについてインタープリテーションの技術を高めるための重要なイベントになることが期待されています。