インドネシア
Activity Report from Indonesia Vol.04 (2018 July - September)
from 矢田誠

二つの新しい取り組み

マラサリ村で実施されているエコツーリズム事業は、村の住民たちが主役です。これまでにお伝えしているように、ジャングルトレッキングやバードウォッチングなどの自然体験、稲刈りや森での食材探しなどの里山文化体験など、若者たちが中心になって様々なアクティビティを提供しています。

村人はエコツーリズムの実施を通じて国立公園の自然を守り、里山文化も継承していきたいという夢に向かって日々試行錯誤しています。

村の自然や文化を守る活動ではありますが、活動は決して村の中だけで完結するものではありません。首都圏の市民など村の外部からの訪問者を勧誘するなどの営業活動はもちろんですが、そのほかにも他地域での同様の取り組みを学ぶことや、国立公園を管理する行政と連携していくことも大変重要です。

今回のレポートでは、村の外で行われた二つの活動を紹介します。

これまでの3か月の活動
1)スタディツアーの実施

インドネシアでのSATO YAMA UMIプロジェクトは、コンサーベーション・インターナショナル(CI)インドネシアと協働で実施されています。
CIインドネシアは国内の自然保護活動において豊富な経験を有しており、エコツーリズム開発にも携わっています。そんなCIインドネシアの活動地での経験を学び、住民同士の連携を高めるためのスタディツアーを実施しました。

CIの活動は、マラサリ村と同じ西ジャワ州内にあるもう一つの国立公園、グヌン・グデ・パングランゴ国立公園で実施されています。マラサリ村のあるグヌン・ハリムン・サラック国立公園とは距離的にも近く、自然環境もよく似ています。

マラサリ村からは10名の若者がスタディツアーに参加しました。CIの活動サイトであるボドゴル地域からはCIスタッフ3名と9名の住民に対応いただきました。


CIインドネシアのフィールドオフィスにて

スタディツアーでは、マラサリ村の若者がボドゴル地域の住民によって実施されているエコツーリズムツアーを体験し、インタープリテーションの手法や、観光客への対応についてのこれまでの経験を伝授頂きます。

バードウォッチングのインタープリテーションでは、鳥の観察技術そのものだけでなく、人々との日々の生活と鳥とのつながりの説明など、観光客の関心をいかに引き出すかという心構えを学びました。


インタープリテーションを学ぶ

トレッキングルート上にある小川では、水生昆虫の観察を行います。案内してくださるボドゴル地域の住民が、非常に深い知識を持っていることにマラサリの若者は驚きます。


水生昆虫の観察

用意されていた教材は、マラサリの若者にとって大きな刺激になったようです。マラサリでも同様の取り組みができないか、その場で相談が始まります。


教材を手にして相談をするマラサリ村のハムダン君とフィルマン君

スタディツアー参加者にとって、ボドゴル地域での観光パッケージは、観光客に対して生態系理解を促す科学的知識の提供が充実していることが印象に残ったようです。

2泊3日のスタディツアーはマラサリ村の住民にとって大きな刺激となりました。この経験を取り入れ、マラサリ村の若者が今後どんなアイデアを練っていくのか楽しみにしています。

2)アートフェスティバルへの参加

ステージでのマラサリ村の演奏の様子

8月末にはグヌン・ハリムン・サラック国立管理事務所の主催によるアートフェスティバルが実施され、マラサリ村は文化紹介の一環として伝統音楽を披露することになりました。

政府イベントで伝統文化を紹介する機会は、エコツーリズム事業のプロモーションにとっても重要です。

マラサリ村の若者は約30分にわたって、グデッグと呼ばれる鉄琴と太鼓の伝統音楽を披露することになりました。地域に伝わる昔話を題材に、寸劇に合わせた音色が会場一帯に響きます。


イベントに参加したマラサリ村の若者たち

マラサリ村の伝統音楽は、フェスティバル参加者にも非常に好評でした。村の魅力のアピールにも大きく貢献できたようです。このような経験の積み重ねを通じて、より多くの人にマラサリ村のエコツーリズムが認知されていくことを願っています。

次の3か月の活動

環境教育教材となるエコツーリズムガイドブックの作成が始まります。県内の国立大学の環境学科の学生をマラサリ村に招き、ガイドブック作成のための調査を実施予定です。
また、ユースプログラムの一環として日本からのインターン生がマラサリ村にやってきます。日本からのインターン生はこちらの大学生の調査活動に合流し、マラサリ村の魅力発掘に協力いただきます。

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