年の初めはいつも過去の振り返りと今後の計画を立てるのに良い時期ですが、私達のプロジェクトチームにとっても、科学的な問いを探求し、今後のコミュニケーション活動を検討するのに良い時期でした。
科学データの検証はデータの取得に始まりますが、質の良いデータは科学的な問いに対して明確な解答を与えてくれるものです。プロジェクトに新たなインターン生として加わった修士2年生のソルベンとパートナーシップを組んでいる、ニューカレドニア大学のユーゴで、取得したいデータを得るために、限られたツールとキャパシティを活用して、マンタの個体群に関する疑問を解くためのデータ収集にあたりました。また、研究のためのフィールドワーク実施の許可申請や、機材や人的なサポートを得るために大切な地域コミュニティや意思決定者、マンタ・イニシアティブのパートナーとの会合を実施しました。
ニューカレドニア大学、ニューカレドニア水族館との打ち合わせ
そして、コミュニケーションはこのプロジェクト全体の要ですが、その一例として、ここ数ヵ月は私達との情報交換を楽しみにする一般の方から送られてくるマンタの写真IDのやりとりでかなり多忙でした。これは、私たちと協力者たちとのWin-Winの関係です! また、プロジェクトメンバーはメールニュースや近々公開される動画など、様々なリリースに向けてて時間を費やしました。
直近3ヵ月の活動
年の初めの3ヵ月は夏の暑さもゆっくりと和らぎ、海水も未だ温かいので、たくさんのダイバーがマンタの写真を撮り続けてくれて、毎月、新しいダイバーがベストショットを送ってくれました!多くの写真が届き、新しい個体も確認されました!3月末時点で、私達のデータベースではニューカレドニア周辺で251体のマンタが確認されています。もちろん、あなたも参加できます!ニューカレドニアに訪れて、ダイビング中にマンタを発見したら、お気に入りのマンタの腹部の写真のベストショットを以下のメールアドレスに送ってください。どうぞよろしくお願いします!
mantainitiative@aquarium.nc
マンタ写真IDと送信者数、実際に確認されたマンタ個数の数の変化を表すグラフ
ご存知かもしれませんが、マンタに接近して写真を撮るには、いくつかのベスト・プラクティスがあります。(間違ってもマンタに飛び乗ってはいけません!) ニューカレドニアのマンタ・イニシアチブのパートナーであるマンタ・トラストが、最近ベスト・プラクティスのガイドブックを作成・提供してくれたので、私達は地元で活用するためにフランス語に翻訳しました。
プロジェクトの主担当、ユーゴがニューカレドニア大学博士課程に入学しました。彼は「ニューカレドニア礁湖と岩礁地帯におけるマンタの空間生態学と生息場所利用」に関する博士論文テーマの精度をさらに高めるために多くの時間を費やしました。また、ソルベンとともに、天候パターンや水温、潮流や食料の有無など、ある地域におけるマンタの生息可否を説明する環境要因を調査しています。ソルベンは定期的にダイビングクラブと打ち合わせを実施しており、このプロジェクトにおける重要なアクターであるダイビングクラブとのさらなるつながり強化やリアルタイムな観察による主要なデータの収集を行っています。
フィールドの話が続きますが、私達プロジェクトチームはマンタの研究と理解において非常に重要な場所であるトゥオに行きました。ニューカレドニアにおいて多くの場所がそうですが、その地域での活動を行うためには適切な手続きと慣習的に地域のオーナーとなっている地域コミュニティからの許可が必要です。2月21日に、トゥオにある6部族の代表コミュニティのうち5部族の代表と対談し、誠意を持ってその地域での私達の活動の許可をいただき、文化的に重要でアイコニックな種であるマンタのさらなる理解をともに深めることに興味を示していただきました。マンタ・イニシアチブはこの地域で、世界文化遺産登録の保護を行っている地元の組合とも協働しており、組合には、現地での活動のガイドを務めていただいています。
トゥオの部族長たちとの話し合い
私たちの撮影した動画が今後数週間で一般公開されます! これまで、私達はショーン・ハインリックやブルー・スフィア・メディアなどの制作チームと協働して、動画の脚本や撮影インタビューの翻訳に全力で取り組んできました。動画に使用するサウンドトラックの作曲も順調に進行中で、7~8割方が完成しています。
この動画は近々開催されるニューカレドニア・アンダーウォーター・イメージ・フェスティバルでの公開動画にラインナップされており、ティーザー動画もまもなく公開されます。楽しみに待っていてくださいね!
一方で、ニューカレドニア・マンタ・イニシアティブのパートナーであるラグーン水族館では、マンタ・イニシアチブを特集したシャークとマンタの展示イベントを4月~6月まで開催中です。みなさんにマンタのことをもっとよく知ってもらい、個体識別のための写真撮影を広めるのに大変良い機会です。このイベントは、夜にスタートするレイトショーでさえも、地元の多くの住民や旅行者で賑わっています。
次の3ヵ月間の活動
次の3ヵ月も忙しくなりそうです。近々予定しているフィールドワークの計画を作成中です。私たちは、ラグーン水族館とニューカレドニア大学のサポートのもと、さらなる現場調査をニューカレドニア西海岸沿いのテニア、ブラリ、クマ、コネで実施したいと考えており、一方でヌメア、トゥオとウベア周辺では遺伝子サンプリングと写真撮影による個体識別を実施します。今後5ヵ月間で合計86日間に及ぶフィールドワークとなります。頑張って良い結果を持って帰ってきます!また、私たちは、海上でマンタを探索するのにとても役立つドローンを入手しました!ユーゴが5月にドローン操作のライセンスを取得予定です。
予定されているフィールドワーク候補地
そして、動画も正式にリリースされます! 第一弾としては、動画に多く映っている人々が住むウベアで公開します。ウベアでは動画撮影に関わった仲間達と素晴らしい瞬間を共有する良い機会なので、皆が動画にどう反応するのかが楽しみです。