今年もAnlung Pring(AP)地域とBoeng Prek Lapouv(BPL)地域ににオオヅルがやってきました。
そして、オオヅルの飛来に合わせて、オオヅルの保全を目指した中学生向けの環境教育ガイドブックが完成しました。
ガイドブックは「生物多様性とエコスシテム」や「オオヅルとその生息地」、「湿地」、「ごみの削減」などの全10章で構成されています。
また、作成にあたっては中学校教員や教育局職員、Mlup Baitong、Birdlife International、JEEF職員が何度も打ち合わせを重ねて進めてきました。
このガイドブックにはオオヅルの生息地を保全し、この豊かな自然や文化を未来に残していきたいと思いが込められています。
プロジェクト終了まで残り1年を切りました。
残りの期間は完成したガイドブックの活用に重点を置き、中学校での環境教育を展開していきたいと思います。
Birdlife Cambodia Programmeの活動
環境教育用の教材を読む生徒たち
環境教育プログラム
私たちは、BPLの小学校2校にて、環境教育プログラムを行っている先生方の活動について進捗管理を行いました。また、授業で使う環境教育用の教材やペン等を寄贈することで、より円滑にプログラムが進むよう支援しました。
BPLの先生たちに感謝を込めて、APの生徒たちが作ったプレゼントを寄贈
APとBPLにおける環境教育の授業の進め方に関する検討会開催
BPLの先生達の念願であった、経験豊富なAPの小学校の先生から直接環境教育について学ぶための交流研修会が、2019年1月末ついに実現しました。私達のパートナー団体であるMlup Baitongの現地スタッフの支援を受け、この交流研修会にはBorie Chhoulsa州教育局の職員にも参加して頂きました。学校訪問の他にも、先生達はAPのレンジャーステーションを訪れ、オオヅルを観察しました。この交流研修で、BPLの先生達は新しい知識や教育実施方法を習得すると共に、カンボジア環境省が推進するエコクラブの活動や学校の廃棄物管理について学ぶことができました。
Antropeng Chhukの中学校で上映会を開催
上映会でオオヅルの着ぐるみを着る生徒たち
教育ビデオを使ったオオヅル保全
オオヅルの教育用ビデオは、湿地の生態系サービスやオオヅルの重要性など地域住民の生活に係わる重要な問題について解説しています。このビデオの上映会を、BPLのコミュニティーやBPLとAPの学校で行いました。BPLのいくつかの村から、およそ200名の住民が集まりました。また、BPLとAPの小中学校では、270名の生徒が集まってくれました。ビデオ上映会の後には、参加した一人ひとりが問題について考えたり、他の人と意見を交換したりすることで、より理解を深めました。
世界湿地の日
2019年2月2日、タケオ州Borei Chhulsa地区のKdol Chhroum小学校で、世界湿地の日のイベントを環境省とタケオ州の副知事の主催で、開催しました。このイベントの主な目的は、参加者に湿地や気候変動について知ってもらい、湿地保全に共感してもらうことです。当日は、意思決定を行う環境省や地方当局、地域住民など、およそ300人が参加しました。イベントでは、ゲストの講演、ゲーム、湿地の重要性と持続可能な利用に関するポエムの発表やオオヅルのビデオ上映も行い、テレビ番組でも紹介されました。
カンポントラッチ地区の保健所と
廃棄物処理施設利用に関する打合せの様子
普及啓発活動
農業有害廃棄物管理のために私達が作成した実施要項を元に、廃棄用のゴミ箱をデザインしました。このゴミ箱は、野外調査で決めた7カ所に設置する予定です。また、コミューン長のおかげで、コミューンの保健所と協働で廃棄物の処理を実施するための打合せをすることができました。この打合せを経て、カンポントラッチ地区病院の理事長と有害廃棄物管理の現状について2回目の協議を行うことができました。その結果、処理施設を修理する必要があることと、施設を利用するためには地区の知事から許可が必要であることがわ。
侵入種の駆除
BPLにおけるオオヅルを威嚇しないよう飛び立つのを待っていた為、生息地の脅威となる侵入種のミモザの雨季後の駆除作業が遅れてしまいました。作業はどうしても、オオヅルが飛び立った後になってしまうので、茎が伸び乾季になってから拡大する恐れがあります。
今後3カ月間で私達は、環境教育を実施しているBPLの小学校2校を引き続き支援していきます。また、オオヅルビデオの上映会も引き続き、BPLとAPの地域住民や学校を対象に行っていきます。第2版の環境教育用教材を200部印刷し、学校に配布する予定です。APにおける7つのゴミ箱設置場所と小学校に、農業有害廃棄物を減らすよう呼びかけるオオヅル看板を立てる予定です。同時に、カンポントラッチ地区病院に廃棄物処理所を利用させてもらうための依頼を公文書で送る予定です。更に、各世帯主に彼らの水田近くに、ゴミ箱を設置させてもらうための許可を得にいきます。また、地域の住人にも有害廃棄物をゴミ箱に捨てるよう促すためのミーティングを開催します。最後に、侵入種ミモザの除去作業を雨季の前6月か8月と、11月初旬、オオヅルが飛来してくる前に行う予定です。
Mlup Baitongの活動
カンボジア環境省職員とともにAP地域のプロジェクト対象校を訪問しました。
対象校では主にエコスクールの認定に向けて活動の様子や課題について聞き取りを行った他、改善点等について環境担当の教員と話し合いました。
環境教育や活動計画の策定などソフト面では評価いただいた一方で、トイレや水道設備などハード面では課題があるとの指摘を受けました。
エコスクールの認定に向けて引き続き対象校の校長や教員とも対策を練っていきたいと思います。
また、プロジェクトの進捗状況をカンボジア環境省局長に対して報告し、今後プロジェクトが発展していくことを期待しているとお声かけいただきました。
下記5つの活動を実施予定です。
1 環境教育ガイドブックを対象校9校及び関連団体に対して配布
2 対象校におけるエコスクール活動の支援
3 対象校での環境教育レッスン実施に向けた教員の支援
4 対象校でのエコスクールの関する意見交換及びレビューを目的としたミーティングの開催支援
5 エコスクールガイドラインに基づく対象校の活動実績等のモニタリング