プロジェクトを実施しているマラサリ村はジャワ島に残された貴重な山地雲霧林を擁するグヌン・ハリムン・サラック国立公園の中に位置しています。国立公園の自然環境を守りながら、村の人々の生計を成り立たせていくために、住民自らが選択した道が「エコツーリズムの実施」でした。
プロジェクトではこれまで、村の若者を対象にツアーガイドとしての技術トレーニングを実施してきました。今回のレポートではその成果の一端を報告させていただきます。
過去3カ月の活動:マラサリ村の魅力を伝えるエコツーリズム・プログラム
村の若者に案内されて原生林をトレッキング
地元政府によるプロモーションなどもあって、マラサリ村のエコツーリズム・プログラムは少しずつ一般の人々に知られ始めています。また、JEEFが関わることで、日本人からの問い合わせを頂くようにもなって来ました。
そのような問い合わせの中で、横浜にキャンパスを持つフェリス女学院大学で環境学の講座を指導されている佐藤輝教授のご依頼を受けて、16名の学生から成る「エコツーリズム実習」受講学生の皆さんをお迎えすることになりました。
実習は2018年2月に実施され、2泊3日のスケジュールで学生さんをお迎えしました。受け入れに当たってはプロジェクトでトレーニングを受けた若者達が中心となってアクティビティの準備を進めます。
生まれて初めて目にするキャッサバの収穫
既に定番のプログラムとなっている原生林のトレッキングに加え、今回、村の若者達がアイデアを出してくれたのは「里山での食材探訪」プログラム。
農村に暮らす人々にとって、里山は日々の生活を成り立たせる重要な場所であり、多くの食材も里山で収穫されます。その食材収穫を学生さんに経験してもらい、村のおばちゃんたちと一緒に料理まで体験し、里山の重要性を理解して貰おうというプログラムです。
当日は二班に別れ、里山のあちこちを散策しながら食材を集めます。
学生さん達自らの手で収穫された里山の恵み
実際に収穫された食材を使って、
村のおばちゃん達と一緒になって料理に取り組みます
村の若者達の熱い思い
青年リーダーのハムダンさん曰く、「都会に住む若者の多くは、日々口にする食べ物がどんな環境で生産されているのかを知りません。里山を維持することで、我々がいかに多くの恩恵を得ているのかを知って貰うことを目的に食材探しのプログラムを考えてみました」とのこと。
自然と人との共存の重要性について考える機会を提供し、同時にマラサリ村の魅力を伝えるための、とても魅力的なアイデアです。
プロジェクト実施者のJEEFが考案する観光パッケージを押し付けるのではなく、住民自身が村の魅力を伝えるためのアイデアを考案し、エコツーリズム実施に主体的に取り組む姿が実現した素晴らしい機会でした。
今後の活動
マラサリ村ではエコツーリズム実施によって、里山の大切さを伝えるためのプログラムを検討中です。特に生活の基盤となる米作りが行われる水田は、見事な棚田を形成し、村の重要な観光資源のひとつにもなっています。観光客の誘致に向けて、この棚田をどのようにアピールしていくのか、村の若者達がアクティビティを検討中です。