素敵なお知らせ
Anlung Pring 保護区(AP)が、2019年5月7日、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)の下に設置されている東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワークに、カンボジア初の参加地として承認されました。EAAFPは、2006年、フライウェイ沿いに生息する渡り性水鳥とその生息地を保全することを目的に構築された、国際的な枠組みです。東アジア・オーストラリア地域フライウェイは、ロシアから東アジアや南東アジアを経由しオーストラリア、ニュージーランドまで続いており、現在145のネットワーク参加地があります。
バードライフ・カンボジア事務所は、2004年からAPの国際的な重要性を広めると共に、様々な保護活動を優先的に実施してきました。事務所の若手スタッフは、「ネットワーク参加地になったことで、APが国際的な注目を集め、多くの観光客が訪れ、この保護区における保全活動の重要性を感じてくれることを期待している。」と述べています。
しかし同時に、2019年5月にAPを離れカンボジア北部・プリアヴィヒア州の繁殖地に渡っているはずのオオヅルが、2019年6月からAPに戻ってきてしまいました。フィールド・チームによると、8羽のオオヅルは別の採餌場所であるベトナムから飛来してきたのかもしれないそうです。このオオヅル達は、おそらく繁殖地に渡る前にAPで採餌をし、十分な栄養を取っているのかもしれません。今後もこの8羽のオオヅルを見守っていきたいと思います。
Birdlife Cambodia Programmeの活動
グループ・ディスカッションの結果をグループごとにまとめ、
他の生徒達に向けた発表準備をしている生徒達
環境教育プログラム
私達はBPLの小学校2校で環境教育プログラムを行っている先生方の活動について、毎月進捗管理を行っています。 開発中の環境教育用の教材について、写真の入れ替えやBPLにおける生息地の状況に関する情報の追加など修正を加え、第2版の作成を行いました。生徒達のプログラムを支援するため、第2版を200部印刷し、小学4年生から6年生の生徒に配布しました。1年目は生徒達の間で教材を共有していた為、教材を家に持ち帰ることができませんでしたが、増版により生徒達が教材を家に持ち帰って読むことができるようになりました。
環境教育プログラムを更にサポートするために、4種類のポスター(オオヅルの生息地、繁殖期と非繁殖期の生息地、オオヅルの脅威について説明)を作成し印刷しました。
上映会を楽しむ生徒達
教育ビデオを使ったオオヅル保全
APでは、2019年4月にKoh Chamkar と Koh Thout村で上映会を開催し、120名の地域住民が参加してくれました。この上映会では、地域住民に対する環境教育を行うだけでなく、都市の大学生2名に対してイベント開催、ロジ面でのお手伝いや地域の関係機関との連絡などを体験してもらう機会を提供することができました。
BPLでも2つの村で上映会を開催し170名の地域住民が参加してくれました。さらにプログラムの対象校以外であるKaev Kamphleung小学校で246名の生徒を対象に上映会を開催しました。これらの上映会では、村長や校長先生から参加者に対し、今後オオヅル保全に携わって行く様促すメッセージも伝えられました。このビデオが自分達の地域で撮られたことから、参加者たちは上映会を心から楽しんでくれたようです。
普及啓発用の看板を7枚、APとBPLに設置した
地域住民が農業有害廃棄物を所定のゴミ箱に捨てるよう、
普及啓発プログラムを実施
農業有害廃棄物管理
オオヅルの生息地となるAPやBPLの水田における農薬の使用を減少させるため、2019年5月に、普及啓発用に7枚の看板(APに5枚、BPLに2枚)が設置されました。特にAPでは、農業有害廃棄物管理に関するプロジェクトを実施していることから、地域住民に対して有害廃棄物を所定のゴミ箱に捨てるよう啓発する目的も含まれています。
更に、5月初旬、近隣住民から有害廃棄物用のゴミ箱を設置するための合意を得ました。そこで6月中にゴミ箱の設置は完了しましたが、カラフルに色付けをするなど目立たせるための工夫を今後したいと考えています。また、4月から6月にかけて地域住民に農業有害廃棄物を所定のゴミ箱に捨ててもらえるよう、普及啓発プログラムを実施し、約380名の地域住民が参加してくれました。
また当初、APに廃棄物処理システムを構築しようと考えていましたが、処理できる場所が見つからないため、この問題を解決するための代替案を考え中です。
APの学園祭で「人間とオオヅルの共生」に
関するロールプレイを楽しむ生徒達
普及啓発イベント
若手スタッフのLyanとSamphorsが、新たな普及啓発イベント「学園祭」を2019年5月末に APのThmor Berk 小学校で開催した。このイベントは、バードライフ・カンボジア事務所の他、NatureLife、WWT、Mlup Baitongや地元の小学校3校と中学校2校が協力して行いました。このイベントの趣旨は、オオヅルや環境について地元の生徒達が自分達の意見を発表する機会を提供することです。このイベントには環境NGOやコミューン長、地元エコツーリズム委員、地域教育局の職員や生徒など300人が参加してくれました。2つのトピック「人間とオオヅルの共生」と「エコツーリズムによる生計向上」について、対象校の2校の生徒たちがロールプレイを行いました。また、演説はThmor BerkとAngChum Tropeng Chruk中学校の生徒により行われ、農薬使用による地域住民とオオヅルへの影響について述べられました。更に、Koh Thout小学校から36名の生徒が「私たちの村のきれいな環境」を題材とした絵画展に参加しました。イベントを通して、参加者たちはプログラムを楽しむと同時に新しい知識を得たり、自分達の責任について学んだりする良い機会になりました。
カンボジア環境省が、2019年6月8日に第70回国際こどもの日を祝いました。セレモニーには環境大臣も参加し、鳥と花の展覧会、ダンス、ファッションショーや子供達のアートワークなどが行われ、子供達の知識の向上を促進しました。若手スタッフのLyanも参加し、BPLやAPにおけるオオヅル保全に関する活動を紹介しました。
6月に環境教育プログラムの10レッスン全てが終わった後、2年目の環境教育プログラムの成果と課題を評価する予定です。オオヅルの教育ビデオの上映会をBPLの小学校や村で開催する予定です。農業有害廃棄物プログラムの一環として、湿地とオオヅル保全の重要性や農業有害廃棄物管理の方法について普及啓発するために、オーディオ放送を用いた活動を実施する予定です。また、有害廃棄物を捨てるための所定のゴミ箱を目立たせるための作業を実施すると共に、カンポット州の病院から有害廃棄物処理について学びたいと考えています。雨季のはじまりは、侵入種であるミモザの除去に適しているので、洪水前の7月に作業を行う予定です。また、若手スタッフのLyanは、国際ハゲタカの日のイベントを開催するメンバーの一員となり、教育キャンペーンの運営について学びます。
Mlup Baitongの活動
開発されたポスター
環境教育ガイドブックの開発
私たちは中学生向け環境教育ガイドブック及び教員向けマニュアルを開発し、対象校に対して配布しました。また、Ankor Chum and Trapaing Chuk中学校を支援し、補助教材として13種類のポスターを開発しました。これらは印刷され、対象校に配布されています。
整備された園庭
エコスクール認定に向けた活動のサポート
対象校7校のエコスクール認定に向けて、児童・生徒が植物の種類やその重要性を学ぶために園庭の整備を進めました。これらによりエコスクール認定に向けて多様な環境活動が可能になりました。
環境教育ガイドブックを使用している様子
環境教育プログラム
研修を受講した教員が小中学生を対象に環境教育プログラム(ガイドブック9章及び10章)を実施しました。
環境教育ガイドブック活用に向けたフォーローアップミーティングやエコスクール認定に向けた活動のサポート、環境教育プログラムを引き続き実施していきます。