SATO YAMA UMI プロジェクト特別企画


SDGsユースサミット2019レポート

1:Voice of Saki Yamamoto

VOICE of SAKI YAMAMOTO

「経済だけで、人は豊かになれるの? という疑問」

−山本咲希−

■私の動機

私は早稲田大学の政治経済学部の3年生で、主に開発経済について学んでいます。今回、約2ヶ月間、コンサベーション・インターナショナル・サモアに派遣していただきました。普段、大学では、経済という視点から持続可能な開発を考えていますが、果たして、経済だけで人は本当に豊かになれるのかなという疑問がずっとありました。一度、自分の専攻から離れて“環境”という視点から、現場で色々体験しつつ、持続可能な開発について改めて考え直したいと思ったことがインターン参加の動機です。

派遣先のサモアの現地オフィスは、スタッフの人数が3、4人という小さなチームです。そこで私が関わっていた業務は「ガーディアンズ・キャンペーン」という環境教育プログラムで、12、3才くらいの子どもたちを対象としたものです。このキャンペーンの主なコンセプトは、サモアの子どもたちが、自分たちのアイデンティティを再確認する、つまり、海と深く係わってきたサモアの歴史を学ぶということです。子どもたちと歌やダンスを楽しんだり、ゲームをしたりといった様々なプログラムを行うほか、子どもたちを実際に伝統的な船に乗せて海に出るといったフィールド学習も実施しています。座学でのお勉強というよりは、「楽しみながら学ぶ」ということを重視していて、この年代の子どもたちには、そんなアプローチは心に響くようです。私たち大人のスタッフも含めて、子どもたちと一緒に楽しみながらサモアの自然を学べていると思います。

■私の提言

「その国の“地の利”を知るNGOという存在」

私が得た学びとして思うのは、「NGOが社会に果たし得る役割は大きい」ということでした。「ガーディアンズ・キャンペーン」という環境教育プログラムは、3つのアクターによって成り立っています。1つにはコンサベーション・インターナショナル・サモア、これはプロジェクトのまとめ役です。2つ目が現地の政府や行政機関、日本で言えば、環境省、文部科学省、あるいは、農林水産省といった省庁にあたるセクションが様々なプログラムを立案します。そして3つ目が現地の様々なNGOの人々で、彼らはこれらの組織をつなぐブリッジであり重要なプレーヤーなんですね。このような3者が協働で子どもたちに環境教育を行う仕組みでガーディアンズ・キャンペーンは運営されています。
持続可能な発展という視点で、このキャンペーンの仕組を考えると、3番目のNGOが果たす役割の大きさが見えてくると思います。

■その国の環境と文化に合った発展の仕方がある

サモアは太平洋の南側に浮かんでいる、埼玉県よりも小さな島国です、ターコイズ・ブルーと呼ばれる海がとてもきれいな国です。ディズニーのアニメーション映画の「モアナ」でも知られる楽園のイメージがあります。しかしその一方で、世界の経済の中心地から離れていて、国土も小さく、資源も少ない、産業が限られていて、出稼ぎに頼る経済構造で、物価が高いので生活は決して楽ではないようです。サモアの場合、農業国から貿易国になったり工業国へと向かうといったような、所謂、欧米型のあるいは、アジア型のモデルに対応できていない現実がありますし、また、そういった既存の経済モデルにはめ込んでしまって上手くいくのか? という疑問もあります。国が発展しようとするとき、様々なモデルがあると思うのですが、その国の文化や環境、その国の経済以外の要素も考慮し、その国柄に適した発展のさせ方があるはずだと思うんですね。

そんな「地の利」を知っているのが現地のNGOだと思います。私が今回のサモアでのインターンを通じて学んだことは、その国が中長期的な視野を持ち、持続可能な発展を目指すのであれば、NGOには、政府や企業と同じくらいの果たすべき役割があるということです。お互いに連携しつつ、その繋がりを有機的に結んでくれる役割がNGOにはあるんだと認識しました。

TOPへ